鳳のだんじり
北王子だんじりの責任者経験者たちの座談会
商店街を駆け抜けるだんじり。
その祭りに強い思いを持っている人は商店街の中にもたくさん存在する。
その中でも責任者を経験した人たちに集まってもらい座談会をしてもらった。
北王子だんじり祭りの成り立ち
【座談会参加者】
- 河崎 道弘さん…北王子だんじり最古参の1人
- 田川 一郎さん…北王子地車保存会会長
- 池川 潤二さん…パレット内 鳳魚末の社長
- 尾松 一宏さん…シャディサラダ館の社長・商店街振興組合 理事長
- 尾松
- 商店街の中にだんじり小屋があって、祭りがあるのは珍しいらしい。僕らの中では必然なんやけど。その中で商店街と祭りの関係性みたいな話ができたらなと思ってます。みんな祭りの会長をやってこられた方なので。でも最近は商店街で商売してる人で法被着てる人は少なくなりましたよね。
- 田川
- そうやね。でも祭りに参加してる人数で言ったら、交通整理してくれる裏方も含めると多いよね。綱持ってる人間だけでも200人くらい。周りにいるのが50人くらい、交通整理入れて最低300人くらいかな。後は寄付集めたりとかの事務方まで入れたらどのく になるか分からん。
- 尾松
- その人数が商店街の中を走るんやもんね。
- 田川
- それもまあそこそこのスピードで走るんやから。泉州の中でもここくらい違うかなあ。
- 河崎
- 観に来る人も壁にベターってくっ付いてなあ。もうギリギリのところを走るから。
- 尾松
- 祭りの時は店の前に自転車置かないようにするのと、側溝からはみ出ないっていうルールはありますね。でも祭りの時は人が一番集まりますからね。そう言えばここにだんじり小屋が出来たのは何年くらい前でしたっけ?
- 河崎
- 小屋が商店街に移ってきたのは50年前くらいになるかな。昔はこの場所、泉北郡の役場やったからね。その頃の商店街の通りはバスも通ってたし、ちょっと前までは牛も歩いとったよ。
祭りの作法や取りまとめはどう受け継がれていくのか?
- 田川
- まとめ役って言っても、まあ形だけのもんやし。現場は現場でね、みんなでやっていくから。
- 池側
- 何かあったら責任取れよ、くらいやなあ(笑)まあ準備とか進行については代々自然に受け継がれてるからね。
- 田川
- 子供会とかの各種団体のまとめ役をさらにまとめるというだけで、肩書きだけやね。
- 池側
- 段取りに関しては、祭りの翌日に片付けしてその後はすぐに翌年の段取りに入るからね。そんなん毎年やってたら、嫌でも覚えるよ。
- 尾松
- 翌日から次の役員が取り仕切りますから。まあ形式上のもんやけど。それで、それまでの役員は一番下っ端に回るんですよ。
- 田川
- だから僕らみたいな若いのが上に立っても、下には先輩方がいるから安心なんですけどね。口出しもされないし。けど、困ったときにはちゃんと助言はしてくれる。
祭りの様子も徐々に変わってきている
- 河崎
- この頃は組織的なもんがしっかりできてきて、やりやすい反面、無茶なことが出来んようになったな。
- 尾松
- 祭りの前の日にみんなでお払いに行くんですけど、河崎さんが会長やった時、河崎さんがいてへんのですよ。あれ?って思ったけど、まあ放っておこかって神社に行ったんですが、行ったら祠の中から河崎さんが全裸で出てきた(笑)。
- 田川
- 今はね、準備の時にはみんなで酒飲むんですが、その場に子どもを入れようもんなら大問題になる。昔はね、そういう場所に子どもも来ます。それで、親は「あんまり無理やり飲まさんといてね」くらいのことだった。みんな分かってるからね。飲むなって言うたって飲むから。
- 池側
- それにその頃は祭りの寄り合いの時くらいしか、夜に外に出るということがなかったからね。娯楽もないし。
- 尾松
- そういうところで「加減」を知っていったというのはあるでしょうね。酒とタバコは祭りで覚えやという感覚はありました。
- 田川
- 年功序列みたいなのはあったけど、和気藹々とはしてたね。河崎さんのこともかなり先輩やけど「みっちゃん」って今でも呼んでるもんね。
- 河崎
- 昔はみんな「ちゃん」付けやったなあ。
祭りをしていく中で大変なこと
- 田川
- まずは資金繰りです。もう、お金なかったら何も出来ませんから。まあ会社の社長と一緒ですわ。数百万円はかかりますからね。
- 池側
- 役員は上に行けば行くほど、寄附金集めるのに自腹切ってますね。僕は飲まへんけど、飲める人は自分のお金相当使ってお店に落として、ようやく寄附もらうみたいな。
- 田川
- それをやってると顔も売れるんで、祭り以外の時も頼ってもらったりするから悪いことばかりじゃないけどね。
- 尾松
- あとは怪我人出さんことですわ。そこは神経使います。
- 田川
- 商店街の中でだんじりがこけたりもしますから。
- 池側
- 事故であちこちにぶつかったりすると、すぐに謝りに行かなあかんしね。それは役員の仕事ですわ。他の町会にも迷惑かけることになるから、そちら方面にも謝らなあかんし。最初責任者した時にいきなり事故やって。もういっぱいいっぱいで、どうしようってなってたら先輩が「すぐに謝りに走れ!」って教えてくれました。
- 田川
- 今年(2020年)は別の意味で大変やった。中止か…大変というよりは、気が抜けたって感じかな。
- 池側
- 今回は仕方なかったなあ。
- 尾松
- 来年こそは開催できるようにしっかり準備はしていきたいですね。
【出典】おおとりしょうてんがいのほん / 鳳本通商店街振興組合 2021年2月28日 発行
編集・取材・文 / 平井 和哉 (0.1knot)